彼とは予約メールの段階で綿密にやりとりしたのを覚えています。
とても丁寧で計算された文面から滲む紳士な物腰の中に、男性的な無意識のコントロールが隠れているのを感じていました。
「この人は妄想の中で、仕立て上げた理想の女にいたぶられる自分の偶像をつくりあげているな。それを壊してやりたい。」
そう思いました。
わたしはマゾが勝手に構築した妄想剤の女王でいてあげることを好みません。それはマゾが持つ男性性にコントロールされることと変わりがない、と思うからです。
実際に会った彼は数枚の印刷レジュメを準備し、自分の馴染みある好みの道具を部屋に並べてわたしを待っていました。おそらくわたし、ではなく、理想の想像の中の女王を待っていました。
使うことを"お願いする"という姿勢で、わたしを誘導するのです。
「きっとこの並べられた道具は使わないだろう。」
そう思いました。どれもわたしをワクワクさせるものではなかったからです。
嬉々として道具の紹介をしていた男が大変頭にきて、裸で床に正しく座るように指示を出しました。
命令ではないです。命令は彼を興奮させる材料でしかないです。命令されることで彼を興奮させてしまうこと自体が気に食わないので、あくまでもそうするよう指示をするのです。
彼が期待する表情ですら憎らしく思えるだろう、と思い、「わたし」の快適のために男の顔を革のマスクで奪いました。
男は聞いてもいない年齢相応であろう肌質や体つきをしていて、
わたしの前で裸で小さくなりました。
ホテルの部屋の下品な色の赤い薔薇を敷き詰めたようなカーペットすら気に食わず、わたしをイライラさせたのを覚えています。
そこからは、あまり記憶にありません。
「こいつとはもう会わないかもしれないな。」
そう思いながら無言で彼の尻を棒で殴っていた気がします。
どうにかこうにか時間で制限があるのでか、わたしたちの時間は終わりました。
彼は痣だらけになった尻を撫でながら、「本当にきつかったんですよ。」といったようなことを(誰に向けて?)言っていました。
知ったこっちゃないので「それは大変だったね。」と答えたように思います。
彼の妄想の範疇の中のわたしが実際に存在したのかどうかはわかりませんが、わたしに会うと選択したことで影響を受けて、
縛られてボコボコにされて、彼が彼自身で決めた決めた事柄から何かしら変化していたら(変化しなくても)面白いな、と思っています。
わたしたちの時間はファンティアで切り売りしています。
偉そうな商品紹介の文言を並べてる割に相変わらず抜きどころはないですが、ぶつかり稽古か実験映像を体感する、くらいの寛容さでご覧になってください。
女王には感謝しましょうね。それでは。
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